« 平井憲夫さん「原発がどんなものか知ってほしい」を読んで | トップページ | マコ・ケンさん、ソーシャルアクション(コープ自然派) »

2015年8月 5日 (水)

武力にかかわらずに協力関係、関係改善をするためには?(脳科学より)

日経ビジネス
「脳とナショナリズムと戦争の意外な関係
脳科学者・中野信子さんに聞く
森 永輔
2015年8月5日(水)」
以下、一部文章を省いたり、直しています。
安全保障法制の問題にも通じることだと思いました。
中野さん:「泥棒洞窟実験」というものがあります(注:泥棒洞窟は地名)。
 10~11歳の白人男子で構成する2つの集団を近くの場所で
キャンプをさせました。
最初の1週間はそれぞれの存在を知らせずに過ごさせる。
次の週に、偶然を装って、両集団を引き合わせました。
その後、綱引きなどのゲームをして競わせ、
お互いの対抗心を煽るように仕向けたのです。
 その後、両集団の親睦を図るため、
食事を一緒に作って食べたり、
花火をしたり、イベントを催したのですが、
結果は親睦どころではありませんでした。
相手の集団が使うキッチンにゴミを捨てたり、
殴り合いのけんかを始めたり、
相手の集団の旗を燃やしたり、
まるで戦争が勃発したかのような行動が見られたのです。
Photo_3
 たった3週間のことですよ。お互い、なんの怨恨もないのに。
森さん:2つの集団を競わせる環境に置くと、
自分が属すのでない集団に対して敵対心を抱き、
“紛争”まで生じてしまう。
 ナショナリズムはこのようにして生まれるのか、
という印象を持ちました。
中野さん:そうなのです。
「ナショナリズム」というと、
為政者が国内での求心力を高めるために、
外敵への敵対心を煽り、
その結果として現れた志向や行動、
と思われる方が多いかもしれません。
しかし、ご指摘の通り、
帰属意識を高める措置が、
他の集団に対する敵対心を煽ることにつながる面もあります。
 内集団バイアス(自分が所属している集団の成員は、
外集団の成員に比べ、実際には優劣の差がないにもかかわらず、
人格や能力が優れていると評価すること)
がもたらすデメリットは、
自分が属すのでない集団に対する敵対心を生むことだけではありません。
自分が属す集団内において「排除」の論理が働くようにもなります。
 集団を壊す最大の脅威は何か。
それは外敵よりも内部の裏切者だからです。
みなが少しずつ協力している集団があったとします。
この集団にとっての脅威は、協力しない人が現れることです。
協力しないにもかかわらず集団に属すことのメリットを享受する人、
つまりフリーライドが認められると、
周囲の人たちも次第に協力しなくなってしまうからです。
このため、集団は協力しない人に制裁を加えようとします。
「制裁」というと何か奇麗な表現ですが、要は「いじめ」です。
 ただ、人間の脳が持つ内集団バイアスにはメリットもあります。
集団内の「協力」をプロモートすることです。
人間の体や能力は完全なものではありません。
例えば足は遅く、猛獣に追われたら逃げおおせることはできない。
人間は集団となって協力することでこの不完全さを補ってきました。
集団となって協力する方が農業などのプロジェクトを進める際にも好都合です。
したがって、集団となって協力する人々の方が生き残り、子孫を残してきたのです。
 内集団バイアスにはオキシトシンという脳内物質が影響しています。
「幸福ホルモン」と呼ばれることもある物質です。
これが働くと、対象に対する愛着が増します。
一方で、偏見や妬みが増すネガティブな影響があることも分かっています。
森さん:敵がいなくても協力できる仕組みが作れればよいのですが。
中野さん:こんなエピソードがあります。
先ほど、泥棒洞窟実験についてお話ししました。
食事も花火大会も、友好的な関係作りに効果はなく、
むしろ紛争が勃発する原因となってしまったのですが、
お互いが協力しないと解決できない課題を
課したところ関係の改善がみられたのです。
 例えばキャンプ場の水道管を壊す。
一方の集団が上流で水を止めていないと、
もう一方の集団が下流で修理作業できない状況を作りました。
またトラックを他の作業の邪魔になる場所に駐め、故障させた。
どちらも、2つの集団が協力して復旧に当たらないと、
1つのグループだけではどうすることもできない状況というのがポイントです。
このような操作を行ったところ、
困難を克服すべく、
互いに敵愾心を持った2つの集団が、協力し合いました。
そして最後は、相手の集団と「一緒のバスで帰りたいね」
と言い出す少年まで現れたのです。
Photo
森さん:国と国の関係に置き換えると、共通の敵に対処するのではなく、
自然災害やパンデミックへの対処で協力することが関係改善を促す可能性があるわけですね。
ぜひ、そうありたいものです。
中野:全くそうですね。
・・
安全保障法制を成立することで
「抑止力につながる」という話をしていますが
とても疑問に思います。
・・
泥棒洞窟実験のように対抗心をあおることで結果は
悲惨なことになるのが目に見える気がします。
・・
どうすれば国同士が協力することができたり、
関係を改善することができるかという
ことについて議論をするべきではないかと思います。
・・
武器を使わず、関わらずに平和活動を行う国。
特殊な国でもいいじゃないか。
それこそ日本のブランドになるのではないかと思います。
・・
人間の脳は不思議だなあと思いますが、
理性を発揮して平和を考えることが
できる力をもっているのは
人間の強みだと思います。
・・
今こそその強みを
発揮するべきだと思います。

|

« 平井憲夫さん「原発がどんなものか知ってほしい」を読んで | トップページ | マコ・ケンさん、ソーシャルアクション(コープ自然派) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1413666/61046841

この記事へのトラックバック一覧です: 武力にかかわらずに協力関係、関係改善をするためには?(脳科学より):

« 平井憲夫さん「原発がどんなものか知ってほしい」を読んで | トップページ | マコ・ケンさん、ソーシャルアクション(コープ自然派) »